AM放送停波実験

 我らがAMラジオ局が順次FM局に転換されるようです。学生時代に一夜漬け徹夜勉強のBGMとして、国内のAM局で音楽やドラマとか、時には海外局の放送を聞いていました。「北京放送」も聞いたことがあります。「日本の同士の皆さん、友人の皆さん、こちらは北京放送局です。毛主席の言葉・・・。」とか聞いていました。(歳がバレる)

 AM放送は、Amplitude Modulation (振幅変調) の略で電波の振幅を音声に沿って変調していく形式、FM放送は、Frequency Modulation (周波数変調) の略で基準周波数を中心に周波数を音声に沿って変調してゆく形式です。

 両方の方式には、建物の中まで電波が届くかとか音質の差とか、ステレオ放送に対応できやすいかとかの違いがあります。AM放送は電離層で反射して丸い地球の裏側まで、つまり遠方まで電波が飛びますが、FM放送の電波は基準周波数が高いので電離層など突き抜けてしまい、一定範囲しか電波が届きません。(経験的に直線で20kmくらい離れたらステレオ放送が聞きにくくなる様に思います。)決定的な違いは、放送設備で、AMは電波の周波数が低い(波長が長い)ので背の高い電波塔が必要ですし、送り出しの出力も結構大きくなければなりません。逆に、FMは周波数が高い(波長が短い)ので、小さなアンテナで送れるし指向性も制御しやすく狭い範囲での受信も強制制御できます。それ故、大出力の送信設備も不必要です。東日本大震災のあと、復興のために小さなコミュニティFM放送局が期間限定で認可され生活情報とか重要な情報源になったのは皆様ご存知のとおりです。

 今回、2024年2月1日(5日)から、全国の13局のAM放送が1年間限定で停波され、FM放送のみで運用され、地域などへの影響を調べるそうです。周波数帯は、アナログテレビや古い携帯電話の周波数、いわゆるワイドFMの帯域を使いますが、これを受けられる受信機が普及しているかといえば、あまり普及していないと言えると思います。今後急速にワイドFM対応の受信機が普及すると思いますが、それまでは不便する方もおられると思います。

 今更、ラジオ?とか言われる方もおられます。スマホがあってradiko とか YouTube など使えば情報得られると思っておられると思います。でも、災害時に携帯のデータ通信が極めて不安定になること、光回線が切れてしまって家庭内や施設内のインターネット環境が全く使えないというのは想定内です。残る手段はテレビとかラジオなど無線通信でかつ、電池でも使える端末だけが頼りになります。車の車載ラジオやテレビも同じ考え方で大きな電池の付いた端末です。残念ながら、今のEVはモーターの制御などでAM帯の電波を発しますのでAMラジオが装備されていない、またはほぼ聞こえないと聞いています。やはり、電池式の(できれば手回し発電できる)小型のラジオを持っていたほうが安心です。

 さて、話がまとまりませんが、AMラジオが無くなるのは世の趨勢ですが、AMラジオを使い慣れた年代の人は、特にパニック時に「ラジオラジオ、エッ、聞こえへんやん」と慌てないようにしないといけないかなと思っています。

 蛇足ですが、AMラジオでステレオ放送ができないのかと聞かれることがあります。随分昔ですが、サンスイ(山水電気)がAM波のステレオ放送の技術を確立しています。ただ、手間かかる割に得られるメリットが少なかったので普及しませんでしたし、開発費用がかかりすぎてサンスイ本体が存続できませんでした。高音質用にラウドネスをかけて送り出すなどの技術が利用されていますが、扱える周波数に限界があるのでFMに比べると低音質です。

 今後、大手の中央局もFM化してゆくようです。今でも、両波で放送がされていますが、AMの方を停波してゆくのでしょう。ただ、NHKを始め関東に集中しているキー局は災害時のためにもAMを停波しないでほしいですね。最後の命綱ですから。

 

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