H3ロケット

日本の新型ロケット「H3 2号機」が2024年2月17日に始めて打ち上げに成功しました。今回は第1回の打ち上げ失敗を受けて徹底的に調査したうえで、打ち上げられました。

店長最初の車のエンジン(2T-G)

 

1回目の失敗は、打ち上げ成功率98%を誇るH2型の第二段目をほぼそのまま使用した第二段目の点火に失敗するという、思いもしなかった原因でした。ロケットエンジンは一度完成すると20年程度は量産され使われ続けます。もちろん細かい部分の設計変更(例えばより良い材料が見つかったとか)は行われますが、基本部分はそのまま使い続けられます。これは、ロケットエンジンに限ったことではなくて、ジェットエンジンなども同じです。考えてみればロケットやジェットのエンジンの仕様がどんどん変化していったら、それを使う機体もその都度設計変更しないといけないので、初期の設計が如何に安定しているかで使用に耐えるものかどうかが決まります。この傾向は自動車のエンジンなどでも同じで、ヘッドはOHVからOHCに、そしてDOHCに換装しながら長く使われています。トヨタの名機、2T-G などは典型です。(マニアックな話ですが)

こういう話をしているのは、一回目の失敗の原因が、H2で長らく実績のあった二段ロケットをほぼそのまま使っていたので、組み立てまであまり注目されていなかった点にあったと説明がされたからです。当然旨く行く、と考えられていたのです。どんな工業製品でも同じですが、今までうまく動いていた物をそのまま新しいシステムに利用したら、大きな心配をしなくても何とか動いてくれるはずと思ってしまいがちです。ロケットの一段目が大きく改変されているのに、実績のある二段目は旨く動くはずと思ったようです。で、H3型という新システムからの二段目への点火信号が送れなかったのが第一回目の失敗の原因だそうです。いくら優秀なロケットでも点火されなかったら働けません。

アメリカが軍事衛星をはじめ、たくさんの人工衛星を打ち上げてきました。アトラスとかのロケットは有名ですが、その心臓部はロシアの企業であるNPOエネゴマシュ(Energomash)製造のRD-180 (or 170) というロケットエンジンです。二段燃焼方式ですが、極めて単純な仕組みで高性能なので50年近く使われてきました。アメリカがロシア製?とか言う話ではなくて、優れたロケットエンジンは長く使われていくという話です。これを如何に安全に使っていくかが、衛星打ち上げのシステム、我々がいう「ロケット打ち上げシステム」です。

システムを作り上げるのは大変な努力が必要ですが、そのシステムを維持管理していくのは倍しての努力と工夫が必要です。これは機械製品だけでなく、コンピューターのソフトウェアでも、人間の集まりの組織にも同じことが言えます。会社を操業するのはそう難しくありませんが、それを維持管理し発展させる事が如何に努力が必要か、少し理解してもらいたい人も最近目立ちますね。と言うことで、JAXAのH3ロケットの無事の打ち上げを喜びながら、全く同じ思想で、会社とか組合とか、はたまたPTAや自治会も動いていることを思い出してしまいました。頑張りましょう人生。

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