妻が突然亡くなりました−2

 葬儀が終わり、お骨を持って帰ってからの「初七日」も無事終えたようです。その後、自宅へ戻ってきてから皆さんとあれこれと話をしたり今後の生活、特に直近の今夜の晩御飯とか明日からの衣食をどうするかとかレクチャーを受けていたようです。数日前まではそのあたりは全く家内任せだったので、例えば着ていた喪服をどうすればいいのかワイシャツなどをどうすればいいのかなど全くわからない。もちろん、クリーニングに出さないと行けないというアドバイスをもらうわけですが、そんなことも思いつかない。一つ一つ指示をもらいながらの作業になりそうでした。

 その後、当然忙しい妹や実弟夫婦、甥姪たちもお手伝いいただいた皆さんも帰らないといけません。それぞれの皆さんにお礼をいって帰ってもらったのは情景として覚えています。「大丈夫か」と言われたのも覚えていて「大丈夫や」って返事したような記憶があります。でも、初めての経験なので大丈夫なはずもなく、「頑張りや」と言われてもどう頑張っていいのかわかるはずもなく実際自信を持てる返事は無理です。皆さんが帰ってしまい、一休みとリビングの椅子に座った直後、寂しいとかいうのではなくどうにも表現できないような「虚無感」を感じました。

 一人になってからは明日からのことを考えていた、今後のことを考えていたといえば格好いいですが、実際は何も考えていなかったようです。数日前には来客の後は家内とあれこれ関連した話を続けていたのに、今日からは一人で反省するしか無いんだなと感じていたと思います。

 その晩、何を食べたのかとか全く覚えていません。家内との最後の晩餐は「チキン・ケチャップライス入オムライス」だったのははっきり覚えているのにです。何を食べたのか覚えていませんが、多分、自分の体力を維持しないといけないという気持ちは大きかったので、なにか作って食べたんでしょう。そして、今まで自分が寝ていた和室は家内の遺体を寝かしていたので使う気にならず、二階は家内の衣装とかがまだ片付いていないので一階の書斎に布団を引いて寝ました。さすが疲れていたのかあっという間に眠りについたようです。

 2021年6月25日午前8時頃、新しい生活スタイルの初めての目覚めです。よほど疲れていたのか、夜中にも全く目を覚まさず、早い時間から朝日の入る書斎でも全く起きませんでした。家内が亡くなって、子供もない男はもっと悩んで夜も寝られないのではとか言う心配話も聞きましたが、前日までの皆さんのお気遣いや声がけで感情面がうまくコントロール出来ているような気がしました。その日はとにかく朝からコーヒーを飲んで、もらったパンやお菓子を食べて過ごしていました。何もしない、とにかく何もしないようにしていました。イライラして叫びそうになる気持ちを抑え込み、時として家内に話しかけそうになる衝動を抑え込んで、一人なんだと自分に言い聞かせるのが非常に辛いというより疲れました。

 そんなこんなで6月27日(日)まで会社を休みました。その間、妹とクリーニング屋に行ったように思うのですが、はっきり覚えていません。日曜日に家内の使っていた携帯電話の解約に行ったり、じっとしていると暗くなりそうなので動き回っていたようです。食料の買い出しは家内とよく行っていたので、特に違和感なく行きましたが、一人で食べるものを考えるとか一人前しか買わないとかおかしな感じでした。

 次の週は普通に仕事に出ました。社員の皆さんが気を使ってくれるのは痛いほどわかりましたが、出来るだけ普段と変わらないように接してくれ、こちらも極力普段と変わらないよう努力しました。そして、7月3日はビデオ会議があったので開始前に洗濯したり掃除をしたりして結構忙しく家事をした後、会議用の顔をしてカメラの前に座りました。この週は特に仕事をしているとそれに集中するのでいいなと感じました。

 翌日の日曜日、まず家内が預けていた控えが出てきたクリーニング屋さんに行って引き取りました。その後、妹に付き合ってもらい仏壇を買いに行きました。もともと無信心で、父親に強制的にもらった神棚しかなかったのでとにかく一揃え準備しなくてはいけません。幸い、妹が父親の仏壇を買ったりしているので、その経験とお店の方のアドバイスをもらって、かわいいの(小さいという意味ではなく雰囲気がかわいいの)を買うことが出来ました。仏壇というのも本当にピンキリなんだと感心して見ていました。僕が選ぶのは無理なのでお店の方と妹がいくつかピックアップしてくれた中で選ぶことが出来、すぐには納品されないので今月中に間に合うように手配してくれました。

 さて、先日の買い物でも感じたのですが、当然支払が発生するのですが重大な問題が発覚しました。今まで家内が家計を全部管理していて、僕自信は小遣いと自分のへそくり口座だけしかわからない。家計用の銀行口座の印鑑もわからないしキャッシュカードも手元にないし、大体通帳もどこにあるかわかりません。給与はほぼ全額家計用の口座に入るので大きな引き落としとかが無い限りデフォルトの可能性はありませんが、一旦入った口座から現金が引き出せないというのは困りました。クレジットカードは使えますが、それだけでは非常に不便です。と言うことで、今度は通帳を探して銀行周りです。ただ、そのへんはまた次回。

 7月6日(火)に2ヶ月に一度の定期検診に行きました。前回書いたように、すぐに睡眠導入剤のお話になります。その日は、夕方に「新型コロナワクチンの1回めの接種」に行きました。ワクチン接種後の発熱もなく問題ありませんでした。
 翌日7日には大阪ガスの点検がありました。会社は接種後のお休みで家にいたので助かりました。

 翌日からは普通に出勤です。その土曜日はガス器具の修理、浄水器の取り外しなど一の出入りが多かった。そして驚くのは、毎週、月・木曜日にゴミ出しが火曜日にプラごみ出し、隔週土曜日にペットボトル類ゴミ出し、同じく隔週日曜日に資源ゴミ出しがあることです。ほとんど毎日ゴミ出しのことを考えていないといけないような気分です。ありがたいことではありますが、普通ゴミ出しが早朝7時前までにしないといけないのが、辛いところですね。

 次の日曜日に、妹と弟夫婦が来てくれて、家の中の整理、特に衣替えの時期でもあったのでそれらの整理、台所に溢れている食器類や鍋類の整理をしてくれました。今の家を新築してから40年以上経つので、その間に買い込んだ食器や鍋類はすごい量でした。僕一人ではどうにも片付く量ではありませんでした。

 先の長い話に成りそうなので、次回にします。家内の母上がまだご存命なのでどうお伝えしたらいいのかとか、整理しながら書き続けてゆきたいと思います。

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