サポート終了

 今回のブログは、技術部長が担当することになりました。皆さんもすでにご存じの通り、2020年1月14日にWindows7 のサポートが終了しました。今日は、少し技術的な観点から、ソフトウェアのサポート終了についてお話ししたいと思います。
 マイクロソフトの製品に限らず、コンピュータのソフトウェアには「ライフサイクル」が設定されています。コンピュータの基本ソフト(OS, Operating System)であるWindows 7は、2009年10月22日に発売され、ここからライフサイクルが始まりました。2013年4月9日にサービスパックサポートが終了し、2015年1月13日にメインストリームサポートが終了しました。その後、5年間の延長サポートがされてきました。しかし、それも今年の1月14日に終了したわけです。
 マイクロソフトのOSは、原則として発売後5年間はメインストリームサポートがその後5年間の延長があり、合計10年間のサポートが受けられます。Windows 7は原則通りサポートが終了したわけです。
 サポート期間が終了すると、定期的に提供されてきたセキュリティ更新プログラムは有償サポートを含むすべてのサポートがマイクロソフトから受けられなくなります。
 インターネットなどでは、Windows 7 は、脆弱となるので、Windows 10にアップグレードすべきであると注意喚起がされています。とは言え、2020年1月14日を過ぎてもOSがWindows 7のコンピュータは、「今まで通り」動作します。一見、なんの問題もないように見えます。恐らく、この原稿を書いている2020年1月17日の夜中においては、それほど大きな問題が起きてはいないのではないかと思います。ただ、セキュリティ更新ができないコンピュータは、どんどん危険なものになっていくのです。セキュリティリスクは、それが、表面化したところですべては終わっています。すでに取り返しがつかない状況になっているかもしれません。
 情報処理推進機構(IPA)からも注意喚起がでています。「2020年1月14日(日本時間)をもって、Windows 7とWindows Server 2008、Windows Server 2008R2のサポートが終了しました。 現在も上記ソフトウェア製品を利用している場合は、速やかにサポートが継続している製品への移行を行ってください。」
 では、サポートが終了したソフトウェアを使い続けるとどのようなリスクがあるのでしょうか?おなじく、IPAのサイトに興味深いデータがあります。
 Windows OSにおける2019年1月から6月までに発見された脆弱性は158件あり、そのうち「危険」と分類されたものは87件ありました。これらのセキュリティリスクは、マイクロソフトから提供されるセキュリティ更新プログラムによって解消されています。今後はこれらの脆弱性が解消されることはありません。仮に、おなじ割合で脆弱性が見つかるとすれば、今後、半年の間に80件あまりの「攻撃ポイント」が出てくるわけです。悪意のあるハッカーたちにとってサポートの終了したOSをつかっているコンピュータほど「おいしい」ものはありません。これからしばらくはWindows 7がその標的として集中的に攻撃されると予想できます。
 幸い、大手のウィルス対策ソフトのメーカーはWindows 7のサポート終了後も、しばらくは、ウィルス対策データの更新はつづけるようです。ただ、セキュリティソフトだけでシステムは守ることはできません。OS自体に「大穴」があいた状態では、セキュリティソフトで対応しきれるものではないのです。パソコンを家にたとえたわかりやすい図がありました。修正プログラムが提供されないとは、ドアや窓に鍵をかけておいても壁や屋根の穴から侵入されやすくなるということですね。

 では、Windows 7 のコンピュータを使い続けることは、絶対にできないのでしょうか?実は、そんなことはありません。ある一定の条件を満たせば、「安全に使い続ける」こともできます。

  1. インターネットに一切接続しない。インターネット接続されているLANにも接続しない。
  2. USBメディア、外付けHDDなどをつかってデータを移動しない。
  3. 接続してよいのは、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタまでとする。
  4. ネットワークに接続されていなければ、工作機械・測定器などの制御に使うことはできる。

 これでは、ネットワークができる前のコンピュータの状態ですね。現在ではこのような状態のコンピュータが「使える」とは言えないと思います。
 やはり、費用も手間もかかる作業ではありますが、Windows 7はWindows10にアップグレードしていただきたいと思います。それが、一番良い解決法です。さらに、Windows10は「モダンライフサイクル」という新たなライフサイクルでサポートされています。Windows10 からは、OSのプログラムとアップデートが一体になった「サービス」として提供されています。新機能の追加などの進化を続けながら「永久に」サポートされるという考えになっています。このことからも、Windows7はWindows10にアップグレードする方がよいことがわかります。ただし、Windows10は常に最新版に更新し続ける必要があります。更新されないとサポートもされなくなりますので、ご注意ください。つまり、Windows Updateが必須です。

 しかしながら、Windows10にアップグレードできないコンピュータも存在します。例えば、工作機械や測定機の制御・データ収集をおこなっているようなコンピュータです。1億円する測定装置を制御・データ収集するための数百万円するソフトウェアがWindows7でしか動かないといったことも起こってきています。Windows10にアップグレードするとソフトウェアも数百万円かけてアップグレードする必要があったりします。このような場合は、やはりWindows7のまま使い続けたいと考えるでしょう。
 このような場合、Windows7のコンピュータ自体はネットワークに接続されている必要はありません。ネットワークから切り離しても使うことができます。なぜなら、すでに十分な機能・性能でソフトウェアは動作しているからです。問題は、収集されたデータをいかに取り出してくるかということになります。USBメディアを安全に使用するのは、かなり面倒で難しい作業になります。Windows7コンピュータに接続する前に、必ず、安全性チェックを行う必要があるからです。
 少し宣伝です。当社では、サポートが終了したコンピュータを通常のネットワークから切り離して、安全にデータを取り出すための装置「データゲートウェイ」を作成販売しております。この装置をつかえば、大きな手間をかけることなく、サポートが終了したコンピュータのデータを利用することができます。図にあるような仕組みで動作します。いくつかの研究機関ですでにご採用いただいています。もし、ご興味があれば、お問い合わせください。

 最後にもう一つ、サポートが終了していくソフトウェアはOSだけではありません。WordやExcelといったオフィスソフトやメールソフトなどのなかにもサポートが終了していくものがあります。自分が使っているソフトウェアがサポートされているかどうかに注意してください。サポートが終了したOSやソフトウェアが動作するコンピュータは、大変危険です。大きな問題が起きてしまう前に、最新のOSやソフトウェアに更新してください。
 では、また。

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