SLIM (日本の月面探査機)

 日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が、2023年(平成5年)9月7日に種子島宇宙センターから、日本の主力ロケットH2Aで打ち上げられたのが、日本初の月探査機SLIMです。目標は10m単位のピンポイント月面着陸と小型ロボットによる周辺調査です。

 着陸直前にメインエンジンが一つ故障してしまって、エンジンが上を向いた逆立ち着陸になってしまいました。結果的に、目標地点から55mに着陸したことが証明されました。エンジンが故障したとはいえ、今までのキロ単位の誤差を容認した月面着陸とはレベルが全く違います。将来の有人着陸では水のある場所とか太陽光が当たりにくい場所への着陸は必須になります。そういう技術を開発と実証ができたのが大きいのでしょう。

 店長、今回のピンポイント着陸も感心しましたが、もっと面白いなと思ったのは、玩具メーカーのタカラトミーが開発した変身ロボット型小型走行プローブ「SORA-Q」です。何しろ、開発がおもちゃメーカーですし、日本人大好きのトランスフォーマー変身型です。SLIMに球状で搭載されていて、月面に着陸する直前に放り出されて、「変~身」って車輪が出てきて月面を走り回ったんです。逆立ち着陸したSLIM本体を写真に撮って地球に送ってきたんですよ。

 もう一台、月面に到着後、跳ね回って移動観測するロボットも積んでいましたが、UHF帯の電波を発信してアマチュア無線家がデータを受信するとかの実験は成功したようですが、まだ確認されていません。

 とにかく、JAXAのようなお堅いイメージの組織で、タカラトミーなどという子供用の変身ロボットを作っているようなメーカーに依頼して、月面探査車の開発製造を依頼したというのが脅威というか、非常に嬉しいです。実は、タカラトミーなど日本の玩具メーカーの技術はロボット工学に基づいた緻密なもので、マイクロ機器の製造や制御に向いています。今回、JAXAという失敗を許さない組織がこの技術に目を付けてくれたというのが嬉しいです。自立型(地球からの指示なしに自分で考えて)で動き回るには、高性能な制御系が必要ですが、基本的には1秒当たりの演算速度を上げてエラーを減らしますが、そうすると発熱と消費電力の問題が出て来ます。それを旨くバランスをとって動かしたのでしょう。アメリカの火星探査機ローバー類も、この制御系のメカニカルロスとソフトウェアの設計の良さがすばらしいので長期にわたって調査できています。先の「ハヤブサ2」に積まれたサンプル保管箱も「タイガー魔法瓶」が開発提供したとかで、民生品でもとんでもない品質を持っていることがわかります。日本の宇宙産業も実は思っている以上にすそ野が広いと感じました。

 今回のSLIMに関してのJAXAのホームページは、「かわいい」と思います。それこそ子供にも見てもらって興味を持ってもらえたらいいかなと思います。

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