富士通と英国郵便会計システム冤罪

 1999~2015年の間で英国の郵便局会計システムに欠陥があって、残高が合わず、調査の結果郵便局長など700人ほどが横領の罪で訴追されましたが、長い時間をかけて冤罪だと認定されました。このシステムを設計した富士通のイギリス子会社「FujitsuServices」が欠陥を認めたようです。というか、システム納入当初からバグの類はわかっていたようです。

 皆様ご存知のとおり、会計システムの仕組みは単純に4則(+, -, x, /)、そのうちの足し算引き算がほぼ全てです。ただ、フロー的には単純な仕組みですが、郵便システムのような全国各地に膨大な数がある入力システムを統合し、うまく動かそうとなると非常に難しいことになります。

 まず、前提として、全端末の故障がないこと、全端末の処理速度がある一定の範囲に入っていること、全端末からメインフレームに繋がっている回線の品質が均質で速度が一定であること、そしてそこに全部のデータを安全に保管できるようにしないといけません。

 書くと簡単みたいですが、例えば日本の場合、国内最北端の宗谷岬郵便局で入力されたデータと、同時刻(秒も同じ)に最南端沖縄県波照間島の郵便局内の端末で入力されたデータが同時に東京にある(多分、安全のため正確には発表されていないような)データセンターに到着しないと行けなくて、入力時間通りのわずかの時間差(100分の1秒とか)も維持されていないといけません。

 もう一つ大事なのは、システムの冗長性です。何時ぞやの銀行ATMのように、複数の思想が違うシステムを間にコンバーターを入れて同期させるとかやっていると、一箇所が壊れるまたはオーバーフローすると動作が極端に遅くなるか止まってしまいます。推察ですが、M銀行の場合はコンバーターに付けていたバッファに想定外のデータが来たので取りこぼしたかセフティープログラムで入力の受付を止めたかでしょう。こういう自体は想定内なんですが、実運用してみるとその原因は人知の及ばない範囲になることもあるようです。

 よく、市販の販売管理システムとか会計ソフトに、「年商100億円程度の会社向き」とか書いていますが、実際、各地に営業をたくさん持ってそれをまとめて、かつPOSなんぞ組んでいたら、考えただけでも頭が痛くなります。全国展開の大手スーパーが、よく間違わずに顧客情報を含め処理できているなと感心してしまいます。

 店長も、簡単なプログラムは組みますし、社内で使っているスケジュール管理などのいわゆるグループウェアはスクラッチで書き上げたものです。社内用ですので、個人の管理ではなく部署の管理など、組織から見た場合という視点で組んだものです。数か所の営業所からもアクセスされるのですが、サーバーは早いし、短いプロシージャを組み合わせているのでデータから見たタイムラグは殆どありません。早いハード、早い言語、早いプログラムの仕組みなど、特にプログラマーのスキルが要求されます。店長の場合はこれで遊んでいるみたいなものですが。その店長の目から見ても、世界最高水準のシステムスキルを持っている富士通が初めからバグだらけの物を納品するとは思えないし、実際のフローとシステムのフローの齟齬が原因なのかと推察します。違っていたらごめんなさい。でも、システム設計とプログラム化の違いとすり合わせを理解していない発注元は怖いです、経験上。

 今回の英国の事例も、起きる可能性があり、それをシステム管理側もわかっていたはずです。なぜ、そんな大掛かりな冤罪事件に発展してしまった、させてしまったのか店長には不明ですが、誰かが責任を取らないといけない、責任の押し付け合いで時間食ってしまって、システムの納期とかも含めて詰め腹を切らされたのは誰か。さて結末はどうなるのでしょうか。

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