バックロードホーン組み立て(4)
やっと塗装に移ります。今回の塗装は所謂「ピアノ塗装」というようなものは狙いません。経験不足(皆無)の店長では無理です。さて、バックロードホーンにかかわらずバスレフとか密閉型のスピーカー・キャビネットでも塗装は音質的に結構大事だと言われています。スピーカーが取り付けれられている前面板(バッフル)の反射率が問題だとか、塗装による損失(多分板鳴りの)が多くなっていいとか言われていますが、塗装したほうが箱がしっかりした感じがして、定位とか低音の音抜けが良くなるような気がします。
ということで塗装を始めるのですが、いきなり今回作った結構高めのエンクロージャーを塗装するのは怖いので、以前作った雑誌付録の小型のバックロードホーン・キャビネットが同じMDF材で構造もほぼ同じなのでこれを先行実験に使うことにしました。塗料はアトムペイントの水性万能塗料の「黒」を使いました。
塗装はとにかく「下地作りが命」って言われていますので、電動サンダーにまず#60のペーパーをつけて全面を研きます。接着(工作)精度が低く、木口が凸凹しているところなどはこの段階で指で触って平らに成るまで削り、凹んでしまっているところはパテを埋めて修正、半日かけて掌で触ってみて「平らになってザラザラが取れた」程度に仕上げます。
次に「サンディングシーラー」というものを塗ってゆきます。この前に「砥の粉」で目止めをしないといけないとも言われているのですが、今回は直接シーラーを塗ってみました。このシーラー、薄い木工ボンドのような感じのものでした。だから木工ボンドを薄めて代用できるかどうかはわかりませんが、ホームセンターでも比較的手に入りにくい物なので急ぐときはこの手もありかもしれません。
このサンディング・シーラーを幅広な刷毛で全部の面にざっと塗ってゆきます。最初は目止めの意味とMDF材の吸い込みを考慮して沢山塗ります。木口にも一杯塗ります。垂れる心配をしていましたが、結構吸い込むのと速乾性なので塗りもれが無いように頑張りました。最も手こずったのは、前面のホーン開口部の内部です。簡単に塗れそうな気がしていたのですが、塗れているのかどうかのチェックが結構難しいんです。兎にも角にも作業を進め一時間ほど待っていると天気が良かったせいか、表面がカチカチになったので電動のサンダーに#120のペーパーをつけて研ぎをかけました。上の通り目止めの意味もあるので、木の地肌が見えるくらい研いでしまいました。ホーン開口部はペーパーを手に持ってできるだけ水平に研いでゆきました。経験もなく、実際の作業を見たこともないので仕上がりの加減がわかりませんので自分で納得できる範囲で研ぎ終わらせ、再度サンディング・シーラーを塗りました。今度は乾いた後ハンドサンダーで磨くのであまり厚く塗らず、塗り残し部分がないように注意しながら薄く塗ってゆきました。一回目の塗りのときと違い明らかに吸い込みも少ないし刷毛塗りのときの抵抗も少なくなりました。
さて、二回塗りが終わったら二時間ほど乾かせてから「ハンドサンダー」に#180のペーパーをつけてできるだけ平らにゆっくり研いでゆきました。今回はこのシーラーがきちんと残るように、今後の塗装の下地に成るように丁寧に研きます。この工程が終わったら念の為に#320のペーパーをハンドサンダーにつけて軽く磨いておきました。この#320番の研きは多分必要ないと思われますが、これも自分が納得できるようにです。これで、表面はもう塗装しなくても大丈夫かもと思うほどきれいになりました。もちろん、透明な塗装なので木口や木目も見えていますが、側板叩くとコンコンといういかにも硬いという感じに仕上がりました。
写真がないのですが、ここから水性塗料(黒)を小分けにとって粘度を下げるために10%ほど水を入れ、外面はローラー刷毛でホーン開口部は刷毛で塗ってゆきました。あまり濃く塗ると垂れてしまうので、下地が少し見えるかもしれないというくらいで塗ってゆきました。今回、底面以外の面すべてを塗るので底面の下にスペーサー(今回は発泡スチロール)を挟んで浮かせて塗っています。そうしないと作業台の汚れ防止の新聞紙に張り付いてしまうからです。一回目の塗は下地にしっかり食いつかせるために半日放置で乾燥させました。2時間位で乾くとは書いてあったのですが、2時間ではまだ塗装面が柔らかい感じだったのと、早朝から始めた作業でまだ十分時間があったので6時間乾かせました。
6時間後乾いた塗装面を見ると、ローラー刷毛の後(なんとか無くブツブツした感じ)が付いています。次は電動サンダーに#180のペーパーをつけて、力を入れないように平滑にしてゆきました。ホーン開口部は同じ番手で手作業です。やや禿てきたかなと感じるほど磨きました。ここから2回めを塗ります。同じように10%程水を加えた塗料を今度は刷毛で塗りました。やや粘度を下げた塗料なら垂れる危険性はありますが乾いていくると刷毛目も目立たないようです。これが乾いたら次は#320のペーパーを付けたハンドサンダーで力を入れずに表面を磨いてゆきます。20%程度水を加えた塗料を刷毛で上塗りしてゆきます。垂れたら面倒なのでとにかくゆっくり薄塗りです。ここで夕暮れになったので一晩放置です。
翌日、塗面がしっかり乾いていることを確認した後、マスキングテープとスプレーで赤いラインを入れて1時間ほど乾燥させました。赤が下地の黒に負けるかと思いましたがやや厚塗りしたので容認範囲ではと思っています。これで2時間乾燥させた後、#400で全面を軽く磨いてからクリアーをスプレーで塗りました。3回塗りしましたが塗らなくても良かったかなという仕上がりでした。汚いわけではないのですが、なんか期待と違う感じです。水性スプレーだったからかもしれません。
さて、写真でスピーカー取り付け穴から見えているピンクの物は、100均で買ってきたフェルトです。もともと吸音材は指定されていなかったですが、聞いていると定在波が少し残っている感じですので入れてみました。スピーカー裏とスロート部分に軽く入れてあります。完成したスピーカーをメインのアンプにつないで聴いてみましたが、口径10cmのフルレンジスピーカー一発のシステムとはとても考えられないくらいの音質・音量です。能率が非常に高いのでアンプの出力も小さくてすみますね。現在ノートパソコンのスピーカーとしてこれも雑誌付録のアンプにつないで使っています。アンプへの入力がイヤホーン端子からなのでほんの少々歪が残っている気がします。早めにUSB-DAC を作って音質の改善をしないといけません。
次回は、本ちゃんの20cmバックロードホーンキャビネットの塗装です。