ホワイトウォーターカヤック

 今回のブログも、前回に引き続き、技術部長が担当します。今回は、技術的なことではありません。本当は、前回にこのブログを掲載する予定だったのですが、「予定外のブログ」を書く羽目になってしまいました。
 さて、以前、私は西表島に行った時のことをブログを書きました。その時、私はシーカヤックをしていることを書かせてもらいました。
 私は、今から40年くらい前に折り畳みのカヤックをつかった川下りからカヤックを始めました。折り畳みカヤックのことは「ファルトボート」といいます。このあたりについては、また、ブログに書かせてもらうことがあるかもしれません。というわけで、私は「のんびり、川をくだって、海に出て・・」のようなカヤックをするのが好きでした。そのうち、海を漕ぐシーカヤックがメインになっていったわけです。
 これらとはまったく違うジャンルのカヤックがあります。それが「ホワイトウォーターカヤック」です。ホワイトウォーターというのは、激流のことをさします。まさしく「白い水」ということですね。これに対応する言葉は「ブルーウォーター」になるでしょうか。オリンピックなどで激流を下りながら「ゲート」を通過してタイムを競う競技がありますが、あれもホワイトウォーターカヤックとなるとおもいます。ちなみに、 カヤック競技には「静水」でタイムを競うものもあります。 

Step 1 (静水で練習)

さて、先日、子供が河のカヤックをしてみたいと言い出しました。シーカヤックであれば、技術的にはそれほど難しいものではありませんので、私でも教えることができます。シーカヤックの難しさは、漕ぐ技術というよりは、海や天気の状況を判断したりすることにあると思っています。
 しかしながら、ホワイトウォーターカヤックは、ほとんど経験がありません。それで、モンベルというショップの講習会にみんなで参加することにしました。場所は、奈良県吉野川です。STEP1の講習から始まって、STEP4まであります。今回は、最初なのでSTEP1です。ここでお詫びがあります。アイキャッチに使った写真は、モンベルのSTEP4の講習会の写真です。今回はこんなところに行ったわけではありません。私たちが参加したのは、本文に記載したこちら(STEP1)です。 

ホワイトウォーターカヤック

 ホワイトウォーターカヤックとシーカヤックは、形がまったく違っています。シーカヤックが「どんな時もまっすぐに進む」「めったなことではこけない」のに対してホワイトウォーターカヤックは「すぐに曲がれる」「こけるのは当たり前」のように作られています。写真ではわかりにくいかもしれませんが、シーカヤックの長さは約5mあります。ホワイトウォーターカヤックは約2mです。

シーカヤック

 まず、カヤックに乗り込むのが大変です。シーカヤックのコクピットには、結構、余裕があるのに比べて、ホワイトウォーターカヤックでは体にぴったりあわせます。言い換えれば、乗り込んだら身動きが取れないと言っていいです。また、カヤックと体とをつないで水の侵入を防ぐ「スプレースカート」も、ホワイトウォーターはかなりタイトなものです。カヤックに取り付けるだけも慣れないうちは大変です。
 なんとか乗り込んで、水に浮かんでからも大変です。基本的にホワイトウォーターカヤックはくるくる回るように作られているので、「まっすぐ漕ぐ」ことが難しいです。パドルスポーツを40年近くしているのに、5回パドルすると1回、カヤックが回転してしまう有様です。シーカヤックのパドリングの癖が出たとたんに回ってしまいます。それでも、フォワードストローク、リバースストロークの練習をくりかえしました。シーカヤックではこれくらいできれば十分ですが、ホワイトウォーターでは、さらに、スイープストローク、ドローストローク、スカーリングといったパドリングテクニックとカヤックを傾けるリーニングなどの講習がありました。さらに、カヤックが転覆(沈といいます)しそうになったときに使うローブレース、ハイブレースの講習もありました。シーカヤックでも、これらの技術を使う場面がないわけではありませんが、めったにありません。特にハイブレースは、ほとんど使う機会はないです。
 午前中は、ほかのお客さんと一緒に講習を受けたのですが、やはり小学生ということで、午後からは、その人たちとは分かれて、我々だけの講習になりました。店長さんにガイド・講習をしていただけました。
 午後からの講習のハイライトは、最後に行った「沈脱」です。カヤックが沈したときに素早く安全にカヤックから出る練習です。基本的には、沈脱の際にカヤックもパドルも離してはいけませんが、子供たちは安全を考え、パドルなしで沈脱をしました。水の中でスプレースカートをはずしてカヤックから出てくるのは最初は難しいところもあるのですが、落ち着いてできていたように思います。ちなみにシーカヤックでも沈することはあります。その時は、何があってもカヤックとパドルは離してはいけません。シーカヤックのガイドしていてゲストが沈したとき、パドルやカヤックを離してしまっていたら、先ず、カヤックとパドルの確保にまわります。カヤックが流されだしたら、泳いでおいつけるものではありません。河の場合は、瀞場になれば追いつけるので、離してしまっても何とかなります。最悪、岸にあがれば帰れます。海ではそうはいきません。
 子供たちに感想を聞いてみると「怖かった」ではなくて、「しんどかったけど楽しかった」と返ってきました。「また、やってみたいけど、もっとのんびりしている方がいい」とのことだったので、基本的な好みは私と一致しているのかもしれません。
 さて、講習が終わってから、店長さんと少し話す機会があったのですが、「八幡暁」という共通の友人がいることがわかりました。八幡君はグレートシーマンとか海遍路という活動をしているのでご存知の方もおられるかもしれません。彼は一時モンベルのガイドをしていたのですが、店長さんはその時の同期だったそうです。私は彼が西表島に流れ着いてシーカヤックを始めたころに一緒に漕いでいました。やはり、カヤックはそれほど「広い世界」ではないなと実感した次第です。
 では、また。

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