大阪コレクション リポート
〜個性と技、軽やかに〜
(2003年11月13・14日)

ヨーロピアンジョイント
<Richard Philip Nicoll (U.K.)> <Daniel Herman (Switzerland)>
ともに、セントラル・セント・マーチン美術大学卒業。

「自分の感情と人生経験を、独自の鋭さをもって、着易い女性の服として表現」する
英国のリチャード・ニコルは、大胆な切り抜きを施した幾何学的なデザインのカットソー、
異なる色の切り替えや、パイピングで立体的に柄をつけたシルクサテンの
ワンピースなど、ドレッシーな要素とスポーティな要素を巧みに融合。

 スイスのダニエル・ハーマンは、布や合成スエードにレーザーカットを施し、
繊細な切り紙細工のように立体的に仕立てた作風が特徴。
「朝のファッション」をテーマに、光沢のあるシルクのガウンとセクシーなランジェリーの
組合せ、黒と白のラテックスを用いたシンプルなワンピースなど、女性らしさを強調した。


新人ジョイント
<Masataka Ota> <K.Okumori & T.Kouroki> <K.Kishimoto&N.Yasuda>
太田雅貴(lolosoju:名古屋)は、
「モノや他の情報に大きく流されない、自己の価値観のある
女性に似合う服」をデザインコンセプトに、緑・ベージュ・白をベースに、
「美しくも儚い花が咲く直前の、つぼみに秘められた生命力のような力」を表現。

奥森香子 & 興梠友洋(elbium:福岡)は、
「adapt」をテーマに、「着る人の気分やシーンにadaptさせるデザイン」を、
赤・青・ベージュ・白などシャープな色使いと、ワンピース・パンツ・
ミニスカート・ホットパンツなどのヴァリエーションで表現。

岸本賢一 & 安田哲子(NATIVE WORKS:奈良)は、
オーガニックコットンなどの天然素材と、リユース素材、草木染めなどを
駆使した自然との調和が制作コンセプト。
チベットをデザインソースした、ナチュラルな色、シンプルなデザインが美しい。

<Takashi Komuro> <Michitada Hirai>
小室高史(CO¢N FEMME:横浜)は、
大胆な花柄プリントのシフォンのトップス、裾をリボンで絞った
可愛いチェック柄のパンツなど、ヴァリエーションに富んだシェイプと
素材で、「柔らかな春の陽差しと、やけつくような夏の陽差し」を表現。

平井通義(GIGANT:大阪)は、
縫い目が斜めに走るパンツ、デニムの大きな花を幾つもつけたスカート、
細いベルトでたくし上げたスカートなど、難しい形をバランスよく表現。
ジャージー風のワンピースは、お洒落な日常着感覚で。

ヒロココシノ
<Hiroko Koshino>
大コレの提唱者で、初回から連続出品のコシノヒロコさんのテーマは

「16.5 センチ地上の妖精(フェアリー)たち」

オリエンタルでキッチュな幻想世界
現代の妖精(フェアリー)たちは感性の魔法の鱗粉を身にまとい
軽々と16.5センチ地上の都市を跳びはねる。
伝統的なモチーフをポップアートし、綺麗に仕立てたジャケットは洗い込み、
クチュールドレスは断ち切りに…
創り上げた世界を崩し、戯れ、再生し、刺激的でファンタスティックな情景へと誘う。
現代の都市空間を男たちより大胆に闊歩する女性たちは
ミステリアスな「未来のイヴ」ともいえるであろう。

特別事業
 「大阪コレクション・イン・ソウル」

(Oct.27,2003)
<Linda Kaori Tanaka> <Yuki Sanaya>
「大阪をアジアのファッション情報発信基地に」を目的のひとつに
当委員会では、'89年から、韓国のデザイナーを招くなど、ファッションを通じた
両国の文化交流を継続的に行ってきた。昨年、一昨年に引き続き、
韓国で最も権威のあるソウルコレクションに2名の若手デザイナーを派遣した。

日系ブラジル3生のリンダカオリタナカは、「昼下がりのコーヒー」をテーマに、
紗南矢悠祈(奈良)は、「黒と白の部分をあわせ持つ天使“Remiel”」をテーマに、
それぞれ力強い作品を発表。日本初の最新ファッションに、
会場一杯の観客は惜しみない拍手を送っていた。