■大コレの火を消すな
 遺志を引き継ぎ大改革を
吉野 国夫 ダン計画研究所所長

 本当に意外な出来事だった。気持ちの整理に少し時間がかかったが、考えてみると幸福な人生を全うしたように思える。苦しみ抜いて死に行く人を見てきたので、楽な終末期でよかったとも思う。夜遊びをする割には信心深い面もあって、神様もよく見られていたのかも知れない。

 ただ、病気発見から1ヵ月というのはあまりにも短すぎた。人生の事、会社の事、家族の事など、いろいろ思い残すこともあったのではないか。

 生前、「大阪コレクション」のことで某役人と話しているのを聞いたことがあるが、少し厳しい意見だった。大阪のファッション産業に大きなインパクトを与え、若いデザイナーを数多く輩出させてきた功績は計り知れない程だ。しかし、往時の勢いから見ればある意味、曲がり角に来ていたとも思う。

 折目さんのいない『関西ジャーナル』を読むか、と問われれば、正直、イエスとは言いがたい。廃刊止むなし、立派な決断だったと思う。

 しかし、大阪コレクションは違う。折目さんだけのものではない。能村龍太郎さんやコシノヒロコさん、そして何よりも、川嶋みほ子さんが、折目さんとともに汗を流して育ててきたものだ。

 時代の大変化の中で、大阪コレクションも今のままではなく大変化を先取りするような大胆な改革があってこそ存在意義があるのだと思う。そうすれば、新しい賛同者も続々と現れ、また新しいムーブメントが起きるのではないか。

 生前の折目さんが言い残せなかった、この思いをここに捧げて追悼の詞としたい。
 
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