■折目さんを偲ぶ
 無用な摩擦を断固として叱咤
津田 和明 サントリー相談役

 あなたと初めてお会いしたのは何年前になるだろう。
 北新地のバーで、今は故人となった当社の平木常務が「ツーさん、これ折目ちゃんや。ご高齢の大商議員の間で抜群の人気がある男や、ジジイキラーと言われている。気難しい議員でも、何時の間にやら、出入り自由で親しくなっている」と呆れ顔で紹介を受けた。その後、この紹介の正確さを身をもって知ることが屡であった。

 大阪商工会議所の会頭の座を巡って、殆どの議員が2つに割れて起こった大騒動が、やっと収まりかけていた時だった。佐治敬三氏のスタッフとして東京から呼び戻された私は永年勤続議員に使者に立つことも多く、その都度、折目情報を珍重した。

 その後、佐治さんは副会頭を経て会頭に就任した。佐治さんの持ち前の明るさと、包容力で急速に雰囲気は修復されたが、その裏で、大商のあるべき姿を提唱して、芯のぶれない主張を続ける関西ジャーナルに随分助けられたものだ。

 財界の情報紙というのはともすれば、騒ぎを大きくする方向になりがちだが、折目さんは無用の摩擦を招きそうな言動に対しては、断固として紙面で叱咤した。そこには私利私欲の影は微塵もなかった。

 あなたの知己を得て、色々と楽しい思い出を作っていただいた。今でも、ひょっこりと会社のロビーにあなたの笑顔が現れそうな気がする。
 そういえば誉められるのは苦手でしたね。矢鱈と照れて身の置き所が無いような表情が目に浮かびます。

 佐治さんも平木さんも君との再会を喜んでいることでしょう。
 
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