■正論と見識に感銘
 姿勢低く志高い無私のひと
篠崎 由紀子 都市生活研究所所長

 ぽっかりと穴があいた感じがつづいている。突然、去っていった折目さんのことを、偲んでいる。

 折目さんは、姿勢は低く志は高いひとだった。ほとんど個人商店に近い会社を切り回しながら、無私のひとだった。

 『関西ジャーナル』の2002年5月15日号の1面に折目さんは、いつになく大きな署名記事を書いた。このころ関西財界を揺るがせていた財界再編にたいする評論だった。財界の地理に不案内なわたしには、評論の資格はないが、直感的に一読これが正論だと感じた。会うひとごとに記事を引用して称賛していた。

 しばらくして、論争の圏外にいる経済界の大先輩からお誘いを受けた。折目さんに一献差しあげたいが、よく知らないので同席してほしいとのこと。北新地の料亭でご馳走になった。この方は折目さんの記事を正論と、感銘を受け、ただそれを伝えたかったのだと言われた。折目さんの見識がここに輝き、分かる人を感じ入らせたのだと嬉しかった。この夜の折目さんはいつもにましてよくしゃべった。

 折目さんとの出会いは、現大阪市長の磯村さんが、市大教授時代に率いた「市制百周年記念事業構想委員会」の席上だった。ときどき出会うたびに、あのときの座長の磯村さんの年代をとっくに超えた感慨を抱いて、おたがい若いひとを育てる立場になったねといい合っていた。ご一緒したいことがたくさんあった。

 ふるさとの北の大地そのままに、おおらかで清々しくやさしかった折目さん、心からご冥福をお祈りします。
 
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