■折目さんの死を悼む
 実直・誠実な人柄で愛される
佐々木 英彰 真宗常光寺住職

 2月5日の昼下り、折目さんが死んだという知らせを受けた私は、「すぐお悔やみに行く。何たることだ」と答えたが、到底信じきれぬ思いで折目邸に電話し、奥様から「夫が今朝早く亡くなりまして…」と聞かされた後も、まだ呆然としていた。

 枕経のひとつもあげ、お葬式の世話もさせて貰おうと急いで出かけたのだが、私が着いた時には折目さんの遺骸は型の如く整えられて、供花も届いていた。途端に喪失感が込み上げてきた。折目さんは面やつれもなく、穏やかな顔つきで、声をかければ返事をしてくれそうだった。

 私が折目さんを知ったのは、関西ジャーナル創業の直後、以来20数年のお付合いである。長い間、公私に亘ってお世話になり、頼りに思ってきた。「折目タダシ」という名だと思い込んでいる人もいるほど、折目さんは実直で誠実な人だった。

 ある時期、私は自坊で毎月『歎異抄』の講義を続けていて、折目さんも来てくれていた。私が先哲の言葉を紹介して「歎異抄はただ読んでいるだけでは駄目、せめて前半部分は暗誦しないと」と言ったのを真に受け、一念発起して半年位で覚えてしまい、有言不実行の私を慌てさせた。

 私の仏法の師匠は昭和期を代表する名師だったが、その先生を折目さんに引き合わせたことがある。折目さんはその出会いで衝撃的な感動を受けたらしい。
最近の関西ジャーナルに「藤谷秀道師とのご縁」と題して(上・中)2篇の連載をした。 (下)まで書けなかったが、草稿は残っているとの事なので、是非完結させてほしい。

 死の告知を受けた折目さんの絶筆として重く受け止めたい。
合掌
 
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